Dr. Marikoの食サイト開設に寄せて
〜 科学的根拠に基づくEBN食育のすすめ 〜

昭和女子大学 大学院 教授
渡辺 満利子

日本人のメタボ・糖尿病の著しい増加や子どもの知力・体力の低下、低体重出生児の増加は、食に起因するところ大であり、国民的課題になっています。国策としての食育基本法、特定健診が導入され、効果的食育法が希求されています。

科学的根拠に基づくEBN食育は、我々研究チームが最良のデザインによる食育プログラムを構築し、食育プログラムの効果を科学的に評価し、証明済みの効果的食育法のことです。このようなEBN食育法は、わが国において殆ど見当たりません。

EBNとは、「Evidence Based Nutrition」の略語で、科学的根拠に基づく栄養学という意味です。類似の言葉にEBMがありますが、「Evidence Based Medicine」の略語で、科学的根拠に基づく医学という意味です。

EBN食育の特徴は、我々が食育のツールとして開発した簡便で比較的正確度の高い食事調査票(FFQW65)、その改良版(FFQW82)を用い、対象者個々の食育課題を抽出することができます。その結果、対象者の課題にフォーカスした食育が可能となり、食育効果が期待できます。

そればかりでなく、食育効果の評価法としては、最良の方法とされる無作為化比較試験(Randomized Control Trial、RCT)に基づく研究デザインのもと、簡便で精度が高い食事調査や臨床検査を食育の介入前後、あるいは中間で実施することができます。

EBN食育は、食育効果の評価指標のエネルギー摂取量や体重等の測定値を用い、対象の改善点に応じた明確で迅速なフィードバックシステムにより、対象者の食意識や食行動の改善を促し、食育の科学的評価が可能です。日本人の健康問題の解決には極めて意義あるものと考えます。

Dr. Marikoの食サイトは、科学的根拠に基づくEBN食育の啓蒙活動をすすめ、大人と子どものための食と健康の最新情報や食育ツールを発信し、内外のジャーナルに掲載された我々の研究成果や最新の知見を紹介し、「現代人の食から日本人の食」の重要性と意義をご提案してまいります。

2011年7月